「日本酒」と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは、
静かでしっとりとした時間を楽しむ飲み物。
ところが今、そんな日本酒のイメージを覆す新しいスタイルが登場しています。
それがスパークリング日本酒。
- 口に含んだ瞬間に弾ける細やかな炭酸
- フレッシュで軽快な飲み口
- 従来の日本酒とは異なる新しい魅力
スパークリング日本酒は、
伝統的な技術に現代的な工夫を加えた、まさに伝統と革新の融合です。
スパークリング日本酒は、
なぜ炭酸を含んでいるのでしょうか。
そこには、酒造りに欠かせない微生物の力が関係しています。
瓶内二次発酵とは?
スパークリング日本酒の本流は、
瓶内二次発酵という技術。
これは、ワインのシャンパンと同じ手法で、
瓶詰めしたあとも、瓶の中で発酵を続けさせる方法です。
発酵の際、
酵母は糖分を食べてアルコールと二酸化炭素(炭酸ガス)を作り出します。
密閉された瓶の中で発生した炭酸ガスは、
逃げ場を失い液体に溶け込み、
自然な微発泡が生まれるのです。
炭酸ガス注入方式との違い
一方で、もっとライトな製法として、
炭酸ガス注入方式もあります。
これは発酵で炭酸を生み出すのではなく、
完成した日本酒に人工的に炭酸ガスを加える方法です。
- 瓶内二次発酵:自然な発泡、きめ細やかで柔らかい泡
- ガス注入方式:炭酸が強く、爽快感が高い
ワインでいう「シャンパン」と「スパークリングワイン」の違いと似ています。
一般的に、瓶内二次発酵の方が
- 泡が細かく、持続性が高い
- 味わいが複雑で奥行きがある
とされていますが、
ガス注入タイプはフレッシュで気軽に楽しめるのが魅力です。
炭酸を含むことで、
日本酒はどのように変化するのでしょうか。
まず、炭酸ガスが口の中で弾けることで、香りが立ち上がりやすくなります。
通常の日本酒では感じにくい、果実のようなフレッシュな香りが、
泡によって引き出されるのです。
また、炭酸の刺激が、
甘味や酸味を引き締め、全体のバランスを整えてくれるため、
スパークリング日本酒は飲み口が軽快で爽やか。
従来の日本酒特有の重厚感をいい意味で裏切り、
- 「日本酒は重い」
- 「甘ったるい」
といったイメージを持っていた人にも驚きを与えます。
冷やしてフレッシュ感を引き出す
スパークリング日本酒は、
しっかり冷やして5〜8℃がベスト。
高温では炭酸ガスが抜けやすくなるため、
冷蔵庫で冷やし、飲む直前に開栓するのが鉄則です。
グラスは、泡立ちを楽しむために
- シャンパングラス
- ワイングラス
がおすすめ。
香りがグラスに溜まりやすく、炭酸の細やかさも長持ちします。
合わせたい料理
爽快な炭酸と軽やかな味わいは、
料理とのペアリングにも新たな可能性を広げます。
- フルーツを使った前菜(カプレーゼ、フルーツサラダ)
- 寿司や刺身など、素材の味を活かした和食
- 軽めの洋食(鶏肉のハーブグリル、白身魚のムニエル)
特に、酸味のある料理や脂の乗った魚との相性は抜群。
炭酸が口の中をリセットし、
次の一口をより美味しくしてくれます。
一ノ蔵「すず音」
- 製法:瓶内二次発酵
- アルコール度数:5%
- 味わい:柔らかい甘味とクリーミーな泡
日本初の本格的スパークリング日本酒。
柔らかい甘さときめ細かな泡が特徴で、
日本酒初心者にもファンが多い一本。
獺祭「スパークリング45」
- 製法:瓶内二次発酵
- アルコール度数:14%
- 味わい:キレのある飲み口、上品な酸味
高級スパークリング日本酒の代表格。
炭酸の爽快感と獺祭らしいクリーンな旨味が絶妙にマッチ。
南部美人「スパークリング梅酒」
- 製法:炭酸ガス注入
- アルコール度数:9~10%
- 味わい:フルーティーな酸味とやさしい甘味
日本酒ベースの梅酒に炭酸をプラス。
甘酸っぱい味わいで、
特に女性から高い支持を集めています。
スパークリング日本酒は、
日本酒の伝統と革新が出会った新しいスタイル。
瓶内二次発酵で自然な炭酸を生む技術
フレッシュで軽やかな味わい
料理との新しいペアリング体験
ワイングラス片手に、
日本酒の新たな可能性を探る時間は格別です。
次の乾杯には、
シュワっと弾ける日本酒で、
新しい日本酒の世界を楽しんでみませんか?