日本酒を買ってウキウキして開けたあの日。少しずつ楽しもうと大事に冷蔵庫に入れていたら、3日後に飲んで「なんか香りが鈍くなった?」と違和感を覚えた経験、ありませんか?
筆者も、鹿島の地酒を初めて家で開けたとき、5日後に明らかに香りが弱まっているのに驚きました。日本酒は一度開けると“秒読み”が始まるお酒──これは実体験から心底痛感した事実です。
生酒・生原酒──フレッシュ命。3日で勝負を決めろ
「生酒は開けたら3日が勝負」と口を揃えて言います。生きた酵母が元気に活動している生酒・生原酒は、空気に触れるとスピード劣化。開栓から48時間くらいがフルーティーさのピークで、あとは加速度的に香りが抜けていきます。これを過ぎたら食中酒として割り切るのも手です。
火入れ酒──安定しているけど油断大敵。1週間が目安
火入れしている酒は「火入れしたら1カ月は大丈夫」と思っている方もいますが、実際は開けた瞬間から味は変わり始めます。特に香りのピークは開けたその日から数日。美味しさを保てるのは1週間程度です。
古酒──変化を楽しむ余裕があれば1カ月
「熟成を楽しむ日本酒」なら開けた後の味変もエンタメのうち。ただし酢酸臭や雑味が強くなる前に飲み切るのが吉。保存環境次第ですが1カ月を超えないうちに味のピークを迎えます。
「なんでそんなに早く味が落ちるの?」と聞かれることがあります。理由は簡単、2つです。
- 酸化──空気に触れると、香り成分やうま味成分が変性。日本酒特有のフルーティーな香り「吟醸香」は特に弱い。
- 揮発──香りの要となる成分が空気と一緒にどんどん飛んでいきます。冷蔵しても逃げるものは逃げる…。
筆者自身、開けたての華やかさを期待して飲んだら「数日でこんなに変わるのか」とがっかりしたこと多数。だからこそ“開栓したら3日ルール”は覚えておきたい。
✔ 小分けにする
「開けたら180mlくらいの小瓶に分けて密閉保存」──地元の酒屋さん直伝の技。空気に触れる量を最小限にできます。
✔ 保管は冷蔵庫の奥
ドアポケットは開け閉めで温度変化が激しくNG。冷蔵庫の奥の一定温度が保たれる場所に立てて置くのがベストです。
「1本飲み切れないけど、せっかく良いお酒を買ったから少しずつ楽しみたい」
そんな気持ちはよくわかります。でも日本酒は鮮度勝負。味が変わってからチビチビ飲むより、友人や家族と開けたてをシェアするほうが100倍幸せな時間になります。
開けたての日本酒の魅力は格別です。美味しい状態をみんなで楽しむ──これが筆者の経験上、開栓後の正解です。