「昨日はちょっと飲みすぎたかな…」
「頭が重くて、午前中が使いものにならない」
日本酒を飲んだ翌日に、そんな経験をしたことがある人は少なくないはずです。
私自身、かつては“日本酒=悪酔いするお酒”という印象を持っていました。
でもそれは、お酒そのものが悪いのではなく、“飲み方”に原因があることを知ってから、考えが変わりました。
特に、日本酒好きの間で当たり前になりつつある“和らぎ水”という習慣。
これを取り入れるだけで、日本酒との付き合い方がまるで変わります。
和らぎ水(やわらぎみず)とは、日本酒を飲む際に一緒に飲む水のことです。
いわゆる「チェイサー」ですが、単なる“口直し”ではありません。
日本酒の専門店や蔵元で、「まずは和らぎ水をどうぞ」とすすめられることもあるほど、実はちゃんとした理由があるんです。
和らぎ水がもたらす3つの効果:
酔いすぎ防止
水分を補いながら飲むことで、アルコールの吸収がゆるやかになり、急激に酔
脱水症状を防ぐ
アルコールには利尿作用があり、飲んでいるつもりでも体内の水分はどんどん抜けていきます。和らぎ水でそれを防げる。
味覚のリセット
お酒の味をリセットすることで、次の一杯を新鮮に楽しめる。
これらの効果が重なり、「美味しく、ゆるやかに、長く日本酒を楽しむ」ことができるようになるのです。
「いつ飲めばいいの?」
「どのくらい飲めばいいの?」
初めて聞く人にはそう思われるかもしれませんが、難しいルールはありません。
ポイントは「自分のペースに合わせて、自然に取り入れる」こと。
飲むタイミング:
・一口お酒を飲んだあとに、和らぎ水も一口
・一杯のお酒が終わるごとに、コップ半分の水
・食事の変わり目に口直しとして
飲む量の目安:
・お酒1合(180ml)に対して、100〜150mlの水
・「同量の水を飲む」と覚えておくと失敗しにくい
最初は少し意識する必要がありますが、慣れれば自然と体が求めるようになります。
和らぎ水って、どんな水でもいいの?」
答えはYes。ただし、いくつかの条件を満たすとさらに理想的です。
和らぎ水におすすめの条件:
軟水(軟らかい口当たり)
硬水よりもクセがなく、日本酒の味を邪魔しません。
常温〜ぬるめ
冷たい水は口当たりは良いけれど、胃腸に負担をかけやすく、体が冷える原因にも。
できれば地域の水でペアリング
たとえば鹿島の酒なら、多良岳の伏流水を使って仕込まれたものが多く、同じ水で割ったり合わせたりすると“蔵の味わい”をより深く楽しめます。
→ 家飲みであれば、市販の軟水(天然水やいろはす)などでOKです。
ある日、鹿島市の酒蔵・光武酒造の純米酒を、自宅でぬる燗にして飲みました。
普段なら冷酒でグイッといってしまうところを、ゆっくり、和らぎ水を挟みながら飲んでみたのです。
結果は驚きでした。
・お酒の味が1杯ごとに違って感じられた
・ずっと穏やかに飲み続けられた
・翌朝、身体が軽くてスッキリしていた
とくに印象的だったのは、「飲みすぎそう…」という不安が自然と消えたこと。
和らぎ水があるだけで、自分のペースを取り戻せたような感覚でした。
・日本酒を美味しく、長く楽しむためには、和らぎ水は欠かせないパートナー
・体への負担を減らし、悪酔いも防げる
・ペースが落ちることで、1杯の味わいがより深まる
・地元の水や料理とのペアリングも、新しい発見につながる
「なんだか日本酒がしんどいな」
そんなときは、もうひとつの一杯“和らぎ水”を、あなたの隣に置いてみてください。