日本酒は一言で言えば、辛口か甘口かで味わいが大きく分かれます。
では、甘口日本酒とは何を指すのでしょうか?
一般的に甘口とは、
含まれる糖分が多く
酸味が穏やかで
口に含んだときに広がる甘みがしっかり感じられる日本酒
のことを指します。
日本酒度(SMV)が低い(マイナス側)ほど、甘みが強く感じられる傾向があります。
糖分と旨味のバランス
甘口日本酒は、
醪(もろみ)の発酵を穏やかにコントロールして
酵母が糖分をアルコールに変える過程を抑える
ことで、糖分を多く残した仕上がりになります。
そのため、甘味だけでなく、
米由来のまろやかな旨味も同時に感じられるのが特徴。
柔らかな酸味と口当たり
酸味が控えめで、口当たりが優しく、
口に含んだ瞬間にふわっと広がる甘さが魅力。
飲み疲れしにくく、食中酒というよりはデザートワイン的ポジションにもなり得ます。
初心者にもおすすめ
アルコール感が穏やかで、
フルーティーな香りと甘みがしっかり感じられるため、
日本酒初心者や普段ワイン派の人にも受け入れられやすいタイプです。
冷やしてデザート感覚で
甘口日本酒は、
よく冷やして5〜10℃くらいで飲むと、
糖分の甘ったるさが抑えられ、爽やかに楽しめます。
アイスクリームやフルーツと合わせて、
デザート感覚で楽しむのも一興です。
食事と合わせるなら?
甘口日本酒は、料理の甘みやコクに寄り添う力を持っています。
おすすめペアリングは:
うなぎの蒲焼き
煮魚
中華の甘酢系料理
味の輪郭がしっかりしている料理と合わせると、
酒の甘みが料理を包み込むように引き立ててくれます。
菊姫「菊姫 吟醸」
石川県の老舗酒蔵・菊姫が醸すこの吟醸酒は、
上品な甘みと旨味のバランスが絶妙な一本。
通常、吟醸酒はシャープでフルーティーなものが多いですが、
菊姫の吟醸はあえて熟成を経て、
落ち着いた香りとまろやかな甘さを引き出しています。
冷やして飲めば、きれいな甘みと酸のバランスが際立ち、
常温ではさらに旨味が開き、奥深い味わいを楽しめます。
食事と合わせても、単体でも満足度の高いリッチな甘口吟醸酒です。
今代司酒造「純米大吟醸 今代司」
新潟の今代司酒造が手がける純米大吟醸。
香り高く、瑞々しい果実のようなアロマが特徴です。
口に含むと、華やかな香りとともに、
すっきりとした甘さが広がり、非常にクリアな飲み心地。
後味には余計な雑味が一切なく、
甘みを感じながらもスッと消えていくフィニッシュが心地よいです。
派手すぎない品の良い甘さがあり、
日本酒初心者でも抵抗なく楽しめる、洗練された甘口純米大吟醸と言えます。
亀泉酒造「亀泉 CEL-24」
高知県の亀泉酒造が造る、革新的な甘口日本酒。
使用しているのは、果実香が際立つCEL-24酵母。
開栓した瞬間、
パイナップルやライチを思わせるトロピカルな香りが広がり、
ひと口含めば、ジューシーな甘みと柔らかな酸が押し寄せます。
一般的な日本酒とは一線を画す果実感で、
白ワインのような感覚で楽しめるのが特徴。
アルコール度数も低め(13%前後)で、
日本酒が苦手な人にもおすすめできる甘口の新定番です。
甘口日本酒は、
飲みやすさ
まろやかな旨味
フルーティーな香り
を兼ね備えた、日本酒のやさしい入り口。
辛口だけが日本酒じゃない。
次の一杯は、
デザート感覚で甘口日本酒を楽しんでみませんか?