寝る前に日本酒はアリ?睡眠の質と日本酒の関係を科学的に解説

寝酒とは?──意外と知らないその定義と効果

「寝酒」とは、就寝前にアルコールを少量飲む習慣のこと。日本でも古くから親しまれており、「寝る前に一杯」が日課になっている方も少なくありません。

寝酒には「リラックス効果」や「入眠を促す」といったプラスのイメージがある一方、「睡眠の質が下がる」「夜中に目が覚めやすくなる」といったマイナス面もあります。

アルコールと睡眠の関係は単純に良し悪しで語れるものではなく、量・タイミング・種類によって効果が大きく異なります。

日本酒の成分とリラックス効果

日本酒に含まれる成分は、睡眠前のリラックスに効果的とされています。主な要素は以下の通りです。

アミノ酸:日本酒に含まれるグルタミン酸やアラニンは神経伝達物質の材料になり、リラックス作用をもたらします。
香気成分:吟醸香などのフルーティーな香り成分(エステル類)は副交感神経を刺激し、落ち着いた気分に。
熱燗にすることで体温が上がり、その後下がると自然な眠気が訪れるという体温調整効果も期待できます。

つまり、日本酒は「成分」と「飲み方」次第で、理想的な寝酒になり得ます。

寝酒としての日本酒:メリットとデメリット

【メリット】

少量で心地よい酔いが得られる(量が少なくて済む)
温めることでリラックス効果が高まる
穏やかな味わいが心をほぐす

【デメリット】

飲み過ぎると利尿作用で中途覚醒しやすくなる
習慣化するとアルコール依存のリスクが上がる
空腹で飲むと胃に負担がかかる

適切な寝酒としての日本酒は、「1合以内」「就寝1時間前までに飲み終える」というルールを守ることで、デメリットを回避できます。

睡眠の質を下げないための日本酒の飲み方

【ベストなタイミング】

寝る1時間前までに飲み終える
熱燗やぬる燗で体温を軽く上げる

【適量】

約180ml(1合)まで
アルコール度数13〜15%の純米酒や本醸造酒が理想

【おすすめのおつまみ】

ナッツやチーズなど脂質・たんぱく質が含まれる軽食
おでんやほうれん草のおひたしなど、塩分と繊維のバランスが取れた和惣菜

【避けたい飲み方】

空腹時に飲む(胃に刺激を与える)
冷酒をがぶ飲み(身体が冷え、睡眠の質が下がる)
毎晩のルーティンにしてしまう

寝酒におすすめの日本酒タイプ

純米酒(ぬる燗〜熱燗):米の旨味とやさしい口当たり。寝る前に穏やかな気分にしてくれます。

熟成酒・古酒:酸味と甘味のバランスがよく、落ち着いた香りで飲み疲れしにくい。

低アルコールタイプ:12〜13%程度のやや軽めの日本酒は、身体への負担も少なめです。

ファクトチェック──科学的な根拠は?

信頼できる機関の見解をいくつか紹介します。

国立精神・神経医療研究センター:「アルコールは寝つきを良くするが、途中で目が覚めやすくなる」
厚生労働省『健康日本21』:長期的な飲酒は睡眠障害の原因になると指摘
アメリカ睡眠医学会(AASM):少量のアルコールは一時的な入眠効果はあるが、深い睡眠を阻害する

つまり、寝酒は「短期的に効果的・長期的にはリスクあり」が科学的にも明らかになっています。

まとめ──“心地よい寝酒”として日本酒を活用する

寝る前に少量の日本酒を飲むことで、心を緩め、自然な眠気を促すことができます。ただし、飲みすぎや習慣化は禁物。飲むタイミング・温度・量を意識することで、日本酒は“眠りの味方”にもなり得るのです。

日々のストレスや不安をほぐしたい夜に──。体にも心にもやさしい「寝酒の一杯」として、日本酒を取り入れてみてはいかがでしょうか。